愛犬の思い出

初めて飼った犬が、スピッツだった。
真っ白の毛糸玉の様な、その子は私が
「リリ」と名付けた。犬好きな父が、知人から譲り受けたものだった。
手先の器用な、父は硝子窓入りの大きな犬小屋を作ってくれた。学校から、私はランドセルのまま犬小屋直行。
りりとその日の出来事を、話て聞かせた。りりの散歩は、殆ど父と一緒。その頃の写真も沢山残っている。
そのうち、私とりりで散歩に出かけることが多くなった。
忘れられない光景がある。それは、穏やかな春の日。クローバーが、密集している原っぱで、一緒に座り綿菓子の様な雲を眺めていたことだ。りりも、おとなしく空を見ていた。
絵本のような場面。今でも、ふっと思い出すことがある。